子どもは勝手に育つ

新米父親です。育児ブログをやってみるよてい

僕は父親になった

7月9日木曜日。雨がちらつく朝。今日は、奥さんが検査入院する日だ。現在38周目。出産予定日は7月23日と告げられていて、まだ余裕はあるのだが、妊娠初期から奥さんの血圧が高くなってしまい、一度入院して様子を見ようという話だ。

僕の仕事は休みが不定期で、別に休みをあわせたわけではないのだが、たまたま今日は公休日だった。

「せっかくなので、車で送ってあげましょう」

ちょっと得意げにそう伝える。病院まではひと駅。駅からは徒歩5分。休みが不定期な僕は毎回送り迎えはできないので、通院しやすい様に、徒歩の距離が一番短い病院に世話になっていた。

病院の受付を済ませ、少し検査をするとの事なので、僕は待合室で待機。しばらくして、看護師さんから声がかかる。

「ご夫婦揃って聞いて頂きたい事がありますので、こちらへお越し下さい」

重々しい扉を通って奥さんとご対面。お医者さんの話によると

・試しに出産を促す処置をしてみた所、血圧が160近くまで上がった
・無理に自然分娩を行おうとすると、母体に危険が及ぶ可能性がある
・待つ理由はないので、可能ならば今日、帝王切開をする事を勧める

との事。突然の事で、面食らっていた。つい数分前まで、「奥さん入院して家帰ったら、束の間の一人暮らしだなー。とりあえず今日はスプラトゥーンやるかー」等と考えていたので、ほんと急展開。
少し話して、奥さんはなんとか覚悟できた様なので、手術をお願いする事に。

「では、各々昼食をとって、13時半から手術を始めましょう」と、お医者さんにサクッと言われて一時解散。40分しかない。慣れない街で良い飯屋が見つからず、日高屋へ。温玉うまから丼。

帝王切開になるので、立会いはできない。お医者さんに「お願いします」と声をかけた後は、待合室でひたすら待機だった。

2分後、赤ちゃんの泣き声が聞こえる。ドキドキしながらナースセンターを見つめるが、どうやら今預けられている、他の新生児の様だ。

3分後、赤ちゃんの泣き声が聞こえる。ナースセンターを見つめるが、以下略。

5回くらい繰り返した所で、なんかもうやんなってスマホーゲーを始める。

白熱したバトルが終わり、次の勝負の為の戦術を練っていた所で、名前を呼ばれる。駆けつけると、赤ちゃん。というより、最初のイメージは、タオルの塊に赤ん坊の頭が飛び出たもの、みたいな印象だった。

「おめでとうございます。2388グラム。女の子です。では、このままだとベイビーが冷えちゃうので、もう行きます」

一言「ありがとうございます」と言うのが精一杯だった。たったの10秒。

しばらくして、奥さんがストレッチャーに乗せられて、病室まで運ばれる。すれ違いざまに何か言わなきゃ、と考えて、考え抜いて、出た言葉が

「お疲れ様です」

お前なんで敬語やねん、みたいな空気が周りに漂った。

そんなわけで、臨月に浮き足立ちながら仕事したりとか、陣痛が始まった時の対処とか、立ち会った時の応援とか、全部すっとばして、いま一つ心の準備が足りないまま、僕は父親になった。